ドナーに恵まれない移植待機患者を一人でも多く救済しようと、宇和島徳洲会病院の万波先生らが進めてきた修復腎移植(病腎移植)は、その論文が今年1月、全米移植外科学会のトップテンに入賞し表彰されるなど、海外の関係者から絶賛されています。
また、オーストラリアの病院では、修復腎移植が既に日常的医療として実施され、大きな成果を上げているほか、米国の病院でも取組みが始まっています。
治療のため患者から摘出した腎臓を修復して利用する修復腎移植は、献腎(死体腎、脳死腎)と比べ、生着率に遜色がありません。親族の健康な体を傷つける生体腎移植と違って、家族間の葛藤もないうえ、万一、手術が失敗しても、患者と医師の精神的負担が軽いなど、多くのメリットがあります。
しかしながら、日本移植学会など日本の関連4学会は昨年3月、「現時点では医学的妥当性がない」との声明を早々と発表し、修復腎移植を全面的に否定しています。学会の見解を受けて、厚生労働省も、同年7月、臓器移植法の運営指針を一部改正し、臨床研究の道は残すものの、修復腎移植を一般医療として実施することを禁止しました。さらに「特殊な医療で保険適用の対象外である」として、保険適用を認めないことも明らかにしています。その後、修復腎移植の安全性、有効性を示す事実が次々と判明しても、両者は、一切、姿勢を変えようとしません。
国内には慢性腎不全のため、透析生活を余儀なくされている患者が27万人もおり、その多くがQOL(生活の質)や延命の優位性から、根治療法である腎移植を望んでいます。しかし、献腎は年間150例前後と極めて少なく、平均16年待たなくてはならず、その間に大半の患者が亡くなっています。そのため、やむを得ず、多くの患者が親族の腎臓提供により移植を受けているのが現状です。
こうしたなかで、修復腎移植が実施(再開)されれば、国内では年間約2,000個の腎臓が移植に利用できると推定されており、透析患者にとって移植のチャンスが一挙に10倍以上に増え、大きな福音となることは確実です。
私たち「移植への理解を求める会」(事務局・松山市、会員1,400人)は、平成18年11月に発足して以来、修復腎移植の推進と万波先生らの医療活動の保証などを訴え、講演会やシンポジウム、署名運動などを精力的に進めてきました。しかし、まだまだ多くの人の理解と協力を得るまでには至っていません。
そこで今後は、修復腎移植の早期実現に向けて、活動の全国展開を図るために、NPO法人を設立します。